"一石二鳥" ふゆみずたんぼ 環境保全と米ブランド化へ

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"一石二鳥" ふゆみずたんぼ 環境保全と米ブランド化へ

2010年2月1日

餌を食べるため湛水した田に降りたマガモ=加賀市大聖寺下福田町で(日本野鳥の会提供)

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カモ類飛来減る片野鴨池

活動農家限定的 『カモだけのため』の声も

 ガン・カモ類など水鳥の貴重な越冬地として知られ、ラムサール条約の登録地になっている加賀市の片野鴨池。しかし、ガン・カモ類の飛来数は、十数年前に比べると大幅に減少した。今冬も、この傾向は変わらない。そんな中、地元の農家などが水鳥の餌場をつくるため鴨池周辺の水田に水をためる「ふゆみずたんぼ」(冬季湛水(たんすい))に取り組んでおり、鳥類専門家らは「意義ある活動」と期待を寄せている。 (池田知之)

 鴨池観察館のガラス越しに広がる片野鴨池。先月十一日、日本野鳥の会のメンバーらが双眼鏡や望遠鏡をのぞきながら、カウンターを手にガン・カモ類を数えていた。

 県が実施したこの日の調査では、鴨池のガン・カモ類は二千二百二十五羽。内訳は、マガモが千四百三十五羽、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種のトモエガモが二百八十九羽、オナガガモが百九十一羽などだった。

 鴨池観察館によると、鴨池には一九八〇?九〇年代には毎年、一万羽を超えるガン・カモ類が飛来していたが、最近では二千羽程度に減った。

 要因は、温暖化など地球規模の気候変動などとみられているが、詳しくは分かっていない。

バルブを開けて田に水を入れる子どもたち=加賀市大聖寺下福田町で

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 重要な対策の一つが、鴨池や周辺の環境保全。昨年秋には環境省が、池の水を減らして底を乾かす「底干し」を初めて実施した。池の底を直接酸素に触れさせることでヘドロの浄化を図る狙いだ。

 ふゆみずたんぼは、地元農家などでつくる鴨池周辺地区地域資源保全会などが中心となって二〇〇四年に開始。現在では十の農家が六ヘクタールで取り組んでいる。九〇年代から全国の環境意識の高い地域などで始まった活動だ。

 田は通常、冬には水を抜く。水が入っていると土が軟らかくなり、あぜ道が崩れたり、春になって重い農機具が入りにくかったりするため。一方、この活動では田に水を入れて生き物をはぐくむ。

 鴨池周辺では今冬も昨年十二月から実施されている。農家の人らが、用水のバルブを開け、田に水を入れる。水に浮いたもみ殻や雑草の種などをカモなどが好んで食べている。

 ただ、農家には「正直、メリットはない。カモの保護のためだけにやっている」といった声もあり、活動の広まりはやや停滞気味だ。が、鴨池観察館に常駐する田尻浩伸・日本野鳥の会レンジャーは「生態系を守るためにも大事な取り組み」と強調する。

渡り鳥が羽を休める片野鴨池=加賀市片野町で

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 参考になる先進事例は宮城県北部の取り組み。栗原市の「日本雁(がん)を保護する会」の呉地正行会長は、農家に冬季湛水の利点があることが必要と指摘し「例えば『ガンに選ばれた田んぼでとれたコメは安全でおいしい』というような売り方ができる」と提案する。

 ラムサール条約登録地の蕪栗(かぶくり)沼のある同県大崎市では二〇〇三年、周辺の田で冬季湛水を開始。現在は十三の農家が約二十五ヘクタールで、有機栽培の「ひとめぼれ」をブランド米「ふゆみずたんぼ米」として年間約九十トンを販売。同市産業建設課は「毎年、完売する」と胸を張る。

 加賀市でも「加賀の鴨米 ともえ」と銘打ち、下福田町の一農家が冬季湛水の田でとれたコメを年間一・五トン生産している。しかし、地域を挙げたブランド化には至っていないのが現状だ。

 後記

 加賀市では、農家がなかば善意で取り組んでいる「ふゆみずたんぼ」。ただ、農家にとって目立った利点がないと、今後も続けることは難しいだろう。

 ともあれ、田に飛んでくる鳥たちを"資源"として生かさない手はない。呉地さんは「地元の人には普通に思えても、外からは『宝』であることも多いんですよ」という。

 「貴重な鳥がすむ自然豊かな地域から生産されるコメ」との触れ込みで売り出せば、十分消費者にアピールできるのではと感じた。